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中小企業経営者にとって、金融機関からの融資を受ける際の「経営者保証」は避けて通れない課題の一つです。この保証があることで、融資の際に必要な信用を補完できますが、同時に経営者個人のリスクを増大させ、スムーズな事業承継を妨げる要因にもなっています。経営者にとって、この負担はできるだけ早く軽減したいところです。
今回は、プロパー融資(保証協会の保証なし融資)における経営者保証を外すために必要な7つのポイントを解説します。具体例も交えながら進めますので、ぜひ参考にしてください。
1. 協力的な金融機関を選ぶ
経営者保証を外すことに積極的な金融機関を選びましょう。一部の金融機関では、融資先の信用力が高ければ、保証を外す方向で動いてくれる場合があります。逆に、保証解除に消極的な金融機関では、いくら努力してもなかなか進展しません。
例えば、A銀行に保証解除を依頼して断られたとしましょう。経営者保証解除に積極的なB銀行に相談した場合、条件付きで保証を外してくれることになり、肩代わり融資を受けられるケースもあります。あるいは、「B銀行の肩代わり融資が受けられそうだ」とA銀行に伝えることで、A銀行との交渉を有利に進めることも可能です。
【ポイント】他行の条件提示を交渉材料にするのも有効です。
2. 経営者貸付や仮払いを解消する
法人と経営者の財務が混同されている場合、金融機関は「経営者保証を外すことは困難」と判断します。このため、経営者貸付や経営者に対する仮払いを解消することが重要です。
例えば、経営者個人の車の購入費用を会社から貸し付けたり、仮払いしている場合、このような取引を解消し、経営者個人と法人の金銭的関係を明確に分けることが求められます。こうした整理が済んでいなければ、金融機関の理解を得ることは難しいでしょう。
3. EBITDA有利子負債倍率を10倍以内に抑える
返済能力が十分にあると考えられる一般的な基準は、「EBITDA有利子負債倍率」が10倍以内であることです。「EBITDA有利子負債倍率」とは、企業の収益力と借入金のバランスを示す指標で、具体的には、以下の計算式で求められます:
EBITDA有利子負債倍率 = 有利子負債 ÷ EBITDA
例えば、EBITDAが500万円で有利子負債が4000万円の場合、倍率は 4000 ÷ 500 = 8倍 です。この数字が10倍以内であれば、収益力で借入金の返済が可能であると判断されやすくなります。
4. 自己資本比率を高める
自己資本比率とは、会社全体の資産のうち、借入金ではなく自己資本(純資産)が占める割合です。この比率が高いほど、会社が安定しており、返済能力が高いと評価されます。目安は20%以上です。
5. 事業計画書を用意する
金融機関は、取引先の将来性をしっかりと評価します。そのため、事業計画書の提出は欠かせません。計画書には次のような情報を盛り込みましょう:
例えば、新しい商品やサービスの展開計画がしっかり示されていると、金融機関も安心して保証解除に応じる可能性が高まります。
6. 月次報告を欠かさない
適切なタイミングで財務情報を開示することは、金融機関との信頼関係を築くために非常に重要です。特に、月次試算表や事業報告書を提出する習慣をつけましょう。
7. 専門家に相談する
最後に、経営者保証の解除に詳しい専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。自分一人で全て対応しようとすると時間や手間がかかる上、専門的な知識が必要な場面も多いです。
例えば、税理士やコンサルタントに依頼した結果、迅速に手続きを進められたという声も多く聞かれます。
おわりに
(文責:松下 裕)